大学の授業料が高くなるってよ

大学の授業料が高くなるってよ

 

国立大学協会は12月7日、財務省の「平成28年度予算の編成等に関する建議」に対する考え方や、地方大学の「授業料を値上げした場合の影響」について資料を公開した。値上げへの慎重な検討を求めるとともに、都市圏以外での高等教育の機会均等や収入格差などを訴えた。

 国立大学協会では、国立大学振議員連盟第5回総会を12月7日開催。国立大学の機能を強化し着実に改革を加速するため、「国立大学法人運営費交付金の拡充に関する決議」をとりまとめ、同日に坂井学財務副大臣および福田淳一主計局長に対して決議を提出。基盤的経費の安定的確保について要請した。また、これらに関する資料を国立大学協会ホームページに公開している。

 財務省は11月24日、財政制度等審議会を開催。「平成28年度予算の編成等に関する建議」において、18歳人口減少に対する国立大学教職員の適正規模や、国立大学の授業料引き上げについて一定の議論が必要との考えを示している。

 国立大学協会では、この建議に対する「国立大学法人の財務運営についての考え方」にて、教職員数の増加は若手の任期付き職員や附属病院の医療系スタッフ増によるもので、常勤教員の人件費は減少していると反論している。また、「値上げありきという議論は適当でない」とし、物価や賃金等の経済状況も勘案しながらの慎重な検討を求めた。

 「授業料を値上げした場合の影響」では、自己収入1.6%の増加をすべて授業料で対応しようとすると、将来的に私立大学の年間授業料を超える可能性を示唆。東北大学では運営交付金が削減された場合として、毎年1.6%増にするためには、平成26年度に54万9,000円だった授業料平均単価を平成43年には125万9,000円とする必要があるという。この授業料平均単価は、参考として掲載されている私立大学の平均授業料86万72円を大きく上回っている。

 また、和歌山大学は、県内にある4大学のうち6割近くの入学者数を担っている。和歌山県は約90%もの学生が他都道府県の大学に進学しており、授業料引き上げにより、他県への進学を促す要因となりかねないと懸念。県内高校生の進学の機会を奪うことにもなるとしている。

 入学者の約4分の1が県内出身者である山口大学では、山口県の平均給与は全国に比べ約47万円の差があることを指摘。経済的理由による授業料免除率が増加していることにも触れ、地方国立大学生の厳しい現状を訴えた